オーストラリアの三日月は逆

小学生や中学生の理科の地学分野で月についての学習がある。
現在の子供は夜はテレビやゲームやスマホで忙しいのでのんびり月を見る、ということはないから月についてもなんにも知らない。人類が月に立ってからすでに半世紀ほども経過しているので宇宙や月に対する興味も乏しい。

しかし三日月くらいは知っている。でも三日月がどちらを向いているかまでは考えない。
これが三日月である。月齢でいうと本当の三日月はもうちょっと細い。
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三日月をいうと花王のマークを思い出す。昔、子供の頃はアゴのしゃくれた人に「花王石鹸」なんてアダナをつけたっけ。
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ところが調べてみると花王のマークは当初は逆向きだったのである。しかもカワイクない!不気味である。1925年
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花王が月のマークを定めたのは明治時代のこと。当初は顔は右を向いていたのであるが、その後この月は新月に向かう月齢25日くらいの月であるから衰退のイメージがあり、良くないということで満月に向かっていく上弦側の左を向いた顔に改められた。1943年。戦時中のことである。
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そしてこれが現在おなじみの花王マーク。1953年の制定だから私と同じ齢。かわいいけど還暦すぎてる。上のマークからたったの10年で日本のデザイン水準は飛躍している。後には企業カラーの変更で現在のような青緑色に色が変更された。
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最後に花王のマークの変遷一覧。 ---経済広報センターのホームページより
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花王は日本最大の生活用品メーカーである。ほぼ同じ業種にライオンやP&Gがある。P&Gは世界最大の生活用品メーカーで売上げは花王の6倍くらいはある巨大メーカーである。この会社のマークがこれ。なんと三日月なのである。
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調べてみるとP&Gが月ののマークを定めたのは1860年ごろで、花王よりも30年ほど早い。では花王がパクッたのか、と思えばそれはよくわからない。花王の前身の長瀬商店は当初エンピツの輸入商であった。輸入鉛筆に月と星のマークがあったのをパクッたらしい。P&Gの100年前の営業品目にエンピツがあったのかどうかは知らないが、月星靴という会社は1928年に月と星のマークを定めたというし、ありふれた発想なのかもしれない。

これがP&Gのマークの変遷
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月齢を大雑把に示すとこうなる
月齢

ところで一日を「ついたち」と読むのは新しい月が立つ、すなわち「月立ち」から来ている。

かねてよりイスラム諸国の赤十字社は「赤新月社」と呼ばれるのを不審に思っていた。新月は見えないはずなのに三日月なのはなぜか?と。「赤三日月社」が正解じゃないの?イスラム圏では十字は異教の象徴だからイスラムの象徴の月を使う。
ダウンロード
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イスラム圏では新月から次の新月まで断食をするラマダン月がある。これが天文学的な計算によらず目視によるらしい。当然新月は見えないから、あらたに月が見え始めた時をもって新月とする。だから三日月形が新月を象徴するらしい。まぁ、それはいいとしてもである。三日月と言うのは目で見るならば右側が明るいはずであるが、イスラム諸国の旗はおおむね左側が明るい月齢で言うと25日くらいの月なのである。これはネット上でいろいろ調べたけれども明解な答えは見当たらない。ほとんどの記事がイスラムの月は「三日月」であると疑いもなく書いてある。どうなんでしょうね。

上のトルコの赤新月社の英訳には”TURKISH RED CRESCENT”とある。英語辞書でクレセントを調べるとクレセント自体は上弦とか下弦とかを区別していないようである。つまり3日の月も25日の月もクレセントなのである。それを三日月と訳するからいささか誤解が生じる。逆三日月に適当な日本語呼称がないのである。しかしそれでもやはり新月は右側が明るくないといけないはずだ。

トルコの旗。
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パキスタンの旗
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ところが、ある記事を読んでいると南半球では三日月は左側が明るい、とあった。そうならまさにトルコの旗の新月である。
エエッ?!? それは知らなかったぞ。オーストラリアでは太陽は真昼には南中せずに北中することくらいは知っていたが、月まで逆とは知らなかった。本当か?このような立体幾何学は頭の中で考えるとなかなか難しい。そこで実験してみた。

ドナルドがシベリアあたりで三日月を見ている。時刻は日没後くらい。右側が明るい。
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IMG_20151207_134819 posted by (C)オトジマ

同じ月をそのまま南に下りて南半球で見るとこうなる。やはり右側が明るい。
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moon2 posted by (C)オトジマ

それを天地逆にしてみるとこうなる。確かに左側が明るいトルコの旗のクレセントになる。
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moon4 posted by (C)オトジマ

ということは三日月は右側が明るい、というのは北半球の人間の思い込みにすぎない。ただし人類の95%くらいは北半球に住んでいるので右利きの人間以上に多数派である。しかし、トルコをはじめほとんどのイスラム諸国は北半球にあるんだけどな。トルコの旗も実際にはためいている時には風向き次第で右側や左側になるのでそう細かなことをいうこともないのかな。

 




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旅の宿

何気なく見ている月も知れば(調べれば)奥が深いです。
三日月か満月かで現れる(出る・沈む)場所が違います・・・また季節によっても違いますね。
若いとき釣りに狂っていました。 国東半島のこのあたりでは満月、新月の(干満の大きい)大潮では、午後2~3時ごろが干潮、8~9時頃が干潮と覚えていました。ですから今でも月を見ると大体の旧暦がわかります。
吉田拓郎の旅の宿で「上弦の月・・」だったのは西に沈む夜半ごろだったのでしょうか・・。

No title

訂正
8~9時頃は満潮です

じなしさんへ

そういえばありましたね「♪上弦の月だったね~」なんて。たしかに上弦の月は深夜には西の空に沈みます。普段は潮の干満に関心はありませんが、私の場合子供の頃にえらく気になってましたよ。夏休み、毎日磯で潜ってました。これが干潮でないと水中の眺めが全然面白くないんです。日中に大潮の干潮なんで最高でしたね。
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現在トトロのとなりの門川町に住む。
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