孫に送る本

孫の誕生日にはだいたい本を送っている。例年名の通った定番の絵本や図鑑を送っていたが、4年生になったので読み物を送ることにした。

しかし今の子供が何を喜ぶのか読んで面白いと思うのか全く見当がつかない。私が子供の頃には児童書はごく限られていたが、現在は創作物が主流となりすごい数が出版されている。そこで、アマゾンを「児童書・高学年」で検索してみて上位に来るもののレビューを読んでみた。ほとんどの人が「面白い」といっているものから適当に3点選んで買ってみた。今の児童書の作家は全然知らないので作家名は気にかけなかったが偶然「岡田淳」が2冊重なってしまった。孫に送る前に3冊とも読んでみた。

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P6184000 posted by (C)オトジマ

2分間の冒険 (岡田淳)
6年生の悟は学校の日常生活の中でふとしたことから異世界に放り込まれる。奇妙な仕組みとルールが支配する異世界で危機に陥る。悟はほかの大勢の子供たちとドラゴンとのなぞなぞ対決をさせられるはめになる。はじめはバラバラだった仲間たちと信頼関係を作り上げる中で最終的に危機を脱する・・・・・みたいな話。

ファンタジーはどういうわけかドラゴンをやっつける話が多いが。この話では定番のドラゴン退治が日常のすぐ隣にあって子どもの好きななぞなぞでやっつける、など深刻であるべき冒険譚を茶化しているのが面白い。芥川の「杜子春」のように長い物語が実は2分間の夢だった・・・みたいな構成である。大人が読んでも結構面白い。

びりっかすの神様 (岡田淳)
4年生の始は転校した先の学校の教室で奇妙なものを見る。びりっかすさんという妖精である。クラスのビリの人にまとわりつく妖精なのであるがビリの人にしか見えない。当初始はクラスになじめず孤立していたがびりっかすさんをめぐって成績下位の子たちと共同し最終的にはクラス全体の成績向上と団結を勝ち取る・・・・・みたいな話。

学校生活の日常の中にさえないオジサンの妖精があらわれる、というところが面白いところ。子供向け作品だから荒唐無稽なのは仕方ないが、大人が読むとかなり無理がある。岡田淳は学校生活の中で軽妙なファンタジーを作る名手らしい。今の子供の世界は学校か家庭かスポーツクラブか塾か、くらいしかない狭い世界だから学校が舞台になるのは当然だ。

霧のむこうのふしぎな町 (柏葉幸子)
静岡に住む6年生のリナは東北地方の山中の銀山跡にいる親戚のところで夏休みを過ごすことになる。しかし銀山に行く途中で異世界に迷い込んでしまう。そこは全く子供の本ならではの国籍不明のお伽の町で、リナはそこでカタカナの名前の不思議な住人たちと奇妙な経験をしながらひと夏を過ごし人間的に成長する・・・・みたいな話。

1975年の作品ではあるが舞台背景のせいか時代は感じさせない。どうやら山形県あたりを舞台にしているようだが、そのような土着的・和的テイストは全くなく国籍不明。少女向け和製ファンタジーのロングセラーらしい。年老いた私にとってはは全然面白くないが子供に面白いのかもしれない。こんど孫に感想を聞いてみよう。日本の子供が非日常の世界を体験するとしたら、学校が長期休暇となる夏休みの可能性が高い。そこで夏休みに田舎に行って奇妙な体験をする、というのも子供向けファンタジーの定番のようだ。アニメでは「となりのトトロ」もその例。

本を読む楽しさに「読み始めたらやめられず朝が来た」というような醍醐味がある。アマゾンの児童書レビューを見ていると上橋菜穂子の作品にそのような記述が目立つ。上橋作品は多いがどれにもそんなレビューを見ることができる。直近の本屋大賞1位は上橋菜穂子「鹿の王」である。本屋大賞1位作品は文句なしに面白いので一般書としても大変力のある作家だということがわかる。しかし私は全く上橋菜穂子の作品を読んだことがない。ということで試しに代表作「精霊の守り人」もアマゾンで買ってみた。
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P6184001 posted by (C)オトジマ

精霊の守り人 (上橋菜穂子)
最近NHKが「大河ファンタジー」として本腰を入れて綾瀬はるか主演で実写ドラマ化している。シリーズ第1作となるこの作品はすでに刊行20年が経ち児童書では古典にもなりつつある。アニメ化もされている。アニメやRPGでよくありそうな時代・国籍不明でご都合主義の魔法飛び交うファンタジーというのはどうにも読む気になれないのであるが、とにかく孫にお薦めできるかどうか気になるので読んでみる。

ごく短く端折ると・・・・中世の中国だか中央アジアだかみたいな雰囲気の王国が舞台。用心棒稼業をする女剣士バルサが偶然皇子を救う。その後、父の皇帝に追われる身となった数奇な運命の皇子の用心棒として刺客や異世界の怪物と闘いながら最終的には王国の危機を救う・・・・みたいな話。

きっとこれはファンタジーの王道を行くような作品だろう。児童書に分類されるので総ルビでジブリの二木真希子さんのイラストもちりばめられている。しかし世界観はしっかり描かれているし、文章や心理描写は成人向けレベルで、戦闘場面描写もリアリティがあるので全然児童書を読んでいるという気はしない。さらに成人向け作品みたいに無駄に長くないので読みやすい。血沸き肉踊り、読み始めたら止まらない・・・・というほどはないがこれなら続編を読んでもいいかなという気になる。
しかし小学生にはどうなんだろう。4年生の孫の顔を思い浮かべるとやや難しいかな、という気がする。5年か、6年生になった頃でいいかな。というところでこの本は今年の誕生日には送らないことにした。

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No title

子供が本を好きになってほしい・・・親の願いです。
本を好きになる子はちょっとしたきっかけでその面白さに魅了されます。
今は、たくさんの本が出回っています。そのきっかけを子供たちに与えてください。
私が小学校4年生のころ、初めて貸し出しが許されてウキウキしながらあの木造校舎の一階にあった図書室で借りた本が「少女コザック」でした。
本など買ってもらえなかった家庭だったので一文字、一文字想像力を膨らませながら読みました。
感動で一杯でした。大人になってわかりました。「少女コザック」はあのヴィクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」でした。
いい本は必ず子供の目に留まります。
・・・で、今はほとんど読みません。悲しいかや老眼のため、目が疲れます。

No title

霧のむこうのふしぎな町 is a very good book. Is it an ‌inspiration for Spirited Away?
I have 2 versions of Thai publishing, the old 1990 and the new 2006 (as I reviewed in my blog).
I think this book is so valuable, not only for children but for general people. Last few years, I found many people were still searching for them. (Unfortunately both publishers already went off business ^^")

No title

P.S. Many コメントs in my blog said that they prefered the illustration of the old version to the new one. Do you know who is the illustrator of the old one? Thank you ^^

Mikoさんへ

私も土々呂小の図書室にはずいぶんお世話になりましたよ。古典的名作の子供向けはあそこで読んだ気がします。老後はヒマでさぞかし本が読める、と思っていても実際は全然読めないものです。目は悪くなるし、気力は続かないし、感受性は摩滅するし・・・。目の悪い方にはパソコンやタブレットで「青空文庫」の蔵書を読むのをお薦めです。パソコンのモニター上ではいくらでも字を大きくできて老眼鏡不要です。アマゾンのキンドルのように有料の電子書籍やマンガも同様です。

To durianguan

Actually, I've never read this book before. Honestly, it isn't so interesting for me. Maybe I'm too old to read such a fantasy for little kids. As you say, the framework of the story is a bit similar to Spirited away. But both of them are quite different. Spirited away has much more wonder and drama.
The original illustration of old version was drawn by Takekawa Kozaburo —竹川功三郎. Check it on the web. I also think Takeaway's is much better than new version. Why did the publisher changed it??

No title

どうもありがとう. I agree with you about the illustration
I prefer the old one to the new one.^^
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トトロのとなり

Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
日豊地域での見聞を中心に徒然を記す。
お金がないので遠くには行けない。
お金がないのでグルメ記事はなし。

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