雨のぬかるみ海岸

このところ梅雨らしいうっとうしい雨天が続き、どこにも行けないので、読書でもすることにしよう。

こんな雨降りの日には、ある英語教科書のあるスキットが思い浮かぶ。こんな場面。中学レベルの易しい英語なのでだれにでも読めるとは思うが。(クリックで拡大、詳細が読める)



いまどき筆記体でやや読みづらいので一応和訳を付す。

母さんへ
今、私はぬかるみ海岸のホテルで手紙を書いています。
ラルフと私は子供達と数日間の休日なんです。
私達は幸せなんだけど、実を言うと、若干問題があるの。
天気が良くないの。寒くて曇り空。窓の外を見ると今はどしゃ降りよ。
子供たちはあまり楽しくないの。本当のところ退屈してかわいそうよ。今はベッドに座ってトランプをしながらテレビを見てます。


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ここのレストランはとても高くてまずいんです。実はラルフは、お腹をこわして医者に行ってるの。
ここの他のすべてのホテルはキレイで新しいのに、私達のホテルは汚くてとても古いんです。実のところ、いま修理工が来てトイレの修理をしてるんです。
お母さんもご覧のように、私たちはこのぬかるみ海岸でちょっと問題を抱えてますけど、幸せよ。私達、休暇なんだし、みんないっしょだから幸せなんです。
     じゃあね.         エセルより


便箋にはロイヤルスラッジホテルのロゴ入り。
これは、やはり英語で読んだほうが笑える。おまけに身につまされる。私もたま~の家族旅行というと九州で最安の亀ノ井ホテルばかりである。かつて姪の結婚式が新宿のパークハイアットであった。式が終えて我々が宿泊する新宿ワシントンホテルに移動した時、隣接する二つのホテルのあまりの落差に娘は、「この部屋を見て現実に引き戻された。」とため息をついた。ワシントンだって亀の井ホテルの水準からするとはるかに高いホテルである。

それはともかくこの英文スキットの出どころはアメリカの英語教科書サイドバイサイドである。私の持っているのは1989年刊でかなり古い。子供向けというより、海外から来た移民向けに編集されている。

日本の英語テキストというと、高校生向けの教科書は、どれもこれも版で押したように、環境問題、平和問題、苦難を乗り越えたハンディキャッパーの話が多く、読む前から読書意欲が減退する。NHKの英語テキスト類も少なくとも読んで楽しくはない。中学英語も似たようなもの。中学の場合には英語力が初歩的なので複雑な話はそもそも不可能だ。

このサイドバイサイドは中学生程度の文法しか使わない平易な文章ばかりであるが、スキットにやや毒があって面白い。
上の文章をある中学生に読ませたら大喜びであった。日本の中学教科書でもこのくらいのおふざけはあってもいいんではないだろうか。

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夜遅く。アーサーはイスに座って時計を見ている。
彼の隣人達はとてもうるさく、彼は怒っている。

2号室の奴らは踊っている。3号室の男はリビングのカーペットに掃除機をかけている。4号室の女はバイオリンの練習をしている。5号室の10代の子達は大音響でロックを聴いている。6号室の犬は吠えている。7号室の奴らは大喧嘩をしている。

夜が更けて、アーサーは疲れて怒っている。なんていうヒドイ夜なんだろう。


こんな例文も日本の教科書では考えられない。

移民やマイノリティ向けらしく、こんな例文もある。
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マリア・ゴメスはペルーに生まれた。彼女は小さな村で育った。6歳で小学校に行ったが、中学には行かなかった。彼女の家は貧しく、彼女は13歳で働かねばならなかった。靴工場の組み立てラインで働いた。

17歳の時、彼女の家族はアメリカに移住した。初めはロサンゼルスに住み、次にサンフランシスコに移った。アメリカに移住した時マリアはうれしくなかった。彼女は故国の友達が恋しく、英語は一語も話せなかった。彼女は夜は英語を勉強し始め、昼は工場で働いた。

マリアは一生懸命勉強し、今では英語がうまく話せる。今も彼女は夜は勉強を続けているが、タイプの勉強だ。彼女は秘書になりたい。彼女は今も故国の友達が恋しいが、幸せだ。彼女は新しい国での未来を楽しみにしている。


いかにも頭でこねくりだしたような典型的なヒスパニック移民の苦労談であるが、いやみはない。この教科書で学ぶ移民たちはこのスキットに共感できるだろう。日本の中学生にも読ませたい話だ。ちなみにこのスキットは過去形の学習である。

まぁ、日本の子供達の英語学習にも辛気臭い話ばかりでなく、笑える話、やさしい小話なんかが欲しいところだな、と感じる次第。

なおサイドバイサイドは版を重ね、バージョンも変わり、今も刊行中である。



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トトロのとなり

Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
日豊地域での見聞を中心に徒然を記す。
お金がないので遠くには行けない。
お金がないのでグルメ記事はなし。

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