丹賀砲台

九州最東端の鶴御崎灯台の手前に丹賀砲台がある。ミュージアムパーク丹賀という浮かれた名称。事前のリサーチで戦前の砲台遺跡があることだけしか予備知識はなかったのであるが、行って見ると、こりゃharbyさんのブログで前に見たことがあるな、と気付いた。なんだかいつもharbyさんの後を辿る旅である。

丹賀の漁港に近づくと遠くからも岬の山の上にドームが見えるのであそこだろう、とわかる。着いてみるとどこにも要塞があるようには見えず、入場料を取る小屋で「本当にここが砲台ですか??」と確認したくらいである。ほとんど入場者が来ている風には見えない。

これが入り口。昔の建造当初のままである。
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P7293310 posted by (C)オトジマ

斜坑が上に伸びている。急傾斜の階段があるが、リフトがあるのでリフトで上がる。客が自分で操縦する。とはいえ単にボタンを押すだけ。この段階でかなりの異世界体験である。テーマパークのライドなみ。

斜坑は途中で傾斜角が変わっているので上端までは見とおせない。これは下端の乗り場。
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P7293267 posted by (C)オトジマ

リフトから下を見下ろす。昔はリフトの線路に砲弾を山頂に上げる揚弾コンベアがあったらしい。30cm砲ともなると1発で400kgというからとても担げたものではない。
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P7293268 posted by (C)オトジマ

山頂が50mくらいだからリフト終点の標高は40mくらいか。とするとリフトで40mくらいは登ったことになるか。
リフト終点は依然として地下構築物内である。修復されていてキレイだ。もうちょい遺跡、廃墟然としていてもいいんではないか。とはいえ不思議な空間である。湧き水が多い。
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P7293279s posted by (C)オトジマ

砲塔下の円形の弾薬庫の回廊。
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P7293299 posted by (C)オトジマ

砲塔があったはずの上方を見上げる。砲塔は旋回するので竪坑も円筒状である。ベトンの不整面は爆発の跡。
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P7293283 posted by (C)オトジマ

上から見下ろす。


丹賀砲台は豊後水道の入り口の守りである豊予要塞の一部として太平洋戦争以前の昭和2年に起工されたものである。大砲は軍縮条約で廃艦になった巡洋戦艦伊吹の2連装30cm砲を転用。戦争中の昭和17年に初めて試射訓練を実施した。ところが8発撃ったうち最後の一発が腔発を起こし砲塔は吹き飛び内部にいた連隊長以下14名は即死という大事故を起こした。腔発とは砲弾が砲身内でなんらかの原因で爆発し、いわばオウンゴールみたいに自爆するもので30cm弾のすさまじい破壊力を証明した。



上の図では比較のために20mの電車を置いてみた。砲塔の下の円筒状の空間はそうとう広く、艦載砲の巨大さを示す。たった一つの砲塔のためにこんな堅固で大きな砲台が建設されたのであるから、主砲の砲塔を4つくらい持っていた大戦中の戦艦の巨大さが推し量れる。さらには大和クラスだと砲は46cm、砲弾重量一発でなんと1.5t、一つの砲塔に3連装というのだからこの砲台とは比較にならぬくらいのとんでもないスケールである。ということは大戦中に米軍の戦艦が一隻でも豊後水道に現れたとしたら、火力の差は圧倒的で、2連装の30cm砲では太刀打ちできなかったのではないか?

下:巡洋戦艦「伊吹」。前後に砲塔がある。片方の砲は津軽海峡の津軽要塞に使われた。この艦は初期に「坂の上の雲」の主人公、秋山真之大佐も艦長を務めている。


砲の天蓋があったはずの地表にはいま風雨をしのぐためのドームが架けられている。周囲は公園化されていて、景色が良い。
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P7293286 posted by (C)オトジマ

砲台は半径30kmを射程として豊後水道を睨んでいた。空気が澄んでいれば四国が見えるはずだが写っていない。よ~く見ると7~8kmほど遠方の佐伯湾に自衛隊の護衛艦の姿が小さく見える(左上)。たとえばあの艦を砲撃するとして命中させるのは至難の業のように思われる。直線で3kmほど離れた鶴御崎先端に観測所が設置されて、照準や着弾観測を行った。
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P7293294 posted by (C)オトジマ

麓のリフト乗り場前にある忠魂碑には砲弾がある。実物だという。
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P7293307 posted by (C)オトジマ

上から見ると信管の穴が見える。
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P7293308e posted by (C)オトジマ

表面にコンクリート擁壁が露出しているところはパステルカラーでカラーリングされている。80年前の彩色は落剥や退色をしてしまうだろうから最近塗ったものかと思いきや昔の原状だという。迷彩なのである。確かに色は褪せている。
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P7293301 posted by (C)オトジマ

よ~くみると、これは塗装ではない!色つきのセメントをコテでウロコ状に塗りこんでいるのである。大変な手間である。とかく大戦以前の軍需施設は金と手間隙を惜しんでいない。
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P7293302 posted by (C)オトジマ

忠魂碑そばにプロペラが飾ってある。漁船の魚網に引っかかって引き揚げられた。解説によれば二式大艇のものではないか、という。ココを訪れたどなたも正面からの写真をアップしているので私は後ろから撮った写真を。傘歯車が見える。
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P7293306 posted by (C)オトジマ

何も期待せずに道すがら訪れた所であったがなかなか興味深い施設であった。やはり百聞は一見にしかず。ミリオタなら大喜び間違いなしである。軍事に興味のない妻と娘も十分楽しんだ。いや、楽しんではいけないか。ここは多数の英霊の眠る戦跡である。

下:丹賀砲台配置図。現地配布のチラシより。クリックで詳細画像。




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現在トトロのとなりの門川町に住む。
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