映画 『星を追う子ども』 

齢から言ってもアニメに熱中する年代ではないが、昔からジブリのファンであるついでに新海誠作品は気になっている。新海は別にジブリ出身ではないが。

『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』が代表作で昨年長編作品『星を追う子ども』が公開された。彼の来歴と作品については知らない人はウィキペディアを参照して欲しい。

例えば『ほしのこえ』(2002年)は25分の短編で、監督・脚本・演出・作画・美術・編集をほぼ一人ですべてを作り上げた、というのが特筆すべき点である。実写ならともかく、あるいはパラパラマンガレベルのアニメーションならともかく、クォリティの高い作品であるから大変なことである。


しかし、無名の若者がアニメーションを製作するとなると、この方法しかない。新海はこの作品で一躍注目を浴びた。『雲のむこう、約束の場所』(2004年)も似た雰囲気のSF作品である。彼の作品の美点は背景の美しさである。彼はスタートがゲームのCG作成であるから背景もCGであるが、筆で描いたように情感がある。
ピアノによる音楽も美しい。

下:新海は線路や鉄道をよく登場させる。電車の表現は秀逸。

予告編


『秒速5センチメートル』(2007年)は長編ではあるが、3部構成でつなぎの部分やオープニング、エンディングの長いクレジットロールを除くと実質1時間もないから、大々的な劇場用ロードショー作品とは言いがたい。この作品はSFもアクションもファンタジーもないラブストーリーで、彼は新境地を開いた。第一部(30分)は当時ネットでAVIファイルが出回ったので見ていたが、あらためて宮崎の小さな映画館での公開を見に行った。これまた背景が大変美しい。ジブリ作品の背景のクォリティは有名であるが、新海作品には特有の詩情とCGならではの別のテイストがあり、なかなか心地よい。そのかわり、と言っては何だが動画はあまり動かず、水準はありきたりである。お金とスタッフが足りないからである。背景の力と音楽だけで映画が成立している。







Youtubeで映画のサワリと山崎まさよしの主題歌が視聴できる


私は次の作品を期待していたのであるが、うかつなことに1年も前に本格的劇場用長編『星を追う子ども』が公開されていたことを知らなかった。ゲオの棚を見ていてやっと気付いたくらいである。かなり旧聞に属するレビューではあるがひとこと。

この作品は過去の作品とは異なり、ファンタジーに属する。少女が地底の異世界を旅し試練を乗り越えるという話。この作品では本格的にたくさんのスタッフと外注スタジオの協力を得ているので2時間の長丁場がずっと動画の密度が高い。背景はおなじみの美しい新海ワールドに満ちている。ストーリーもなかなか良い。

おなじみの線路

オート三輪が出てくるので一昔前の時代設定か?

主役は少女


・・・・が、どうも過去の新海作品のインパクトがない。それはどの場面にも話の展開にも既視感があるからである。新海自身の過去作品はもちろん、世にあふれかえる数々のファンタジー、ジブリ作品などでどこかで見た景色のバリエーションばかりなのである。ジブリの宮崎駿氏が「今はファンタジーの時代ではない」と言うのがわからんではない。いかにすぐれた作家でも、国籍不明の中世的世界を舞台にしたファンタジーを作ると、類似発想の作品群の中に埋もれてしまい、類型化をまぬがれない。私のようにゲームやアニメのファンタジー、海外映画の実写系ファンタジーに関心がなくあまり見たことのない人間でも食傷気味なくらいである。

「天空の城ラピュタ」の一場面と同一。

「ナウシカ」のマンガ版や「ハウルの動く城」で見たことのある設定。

「ナウシカ」の風の谷の光景が想起される。風車の形が違う。

廃墟の点在する荒野を旅行けば、「ゲド戦記」や「ブレイブストーリー」に似てくる。


とはいえ、『星を追う子ども』がターゲットとする青少年にはこの作品は訴求力があるのかもしれない。新海監督はまだ若く、才能にあふれている。私の好みに合う今後の作品に期待したい。

下:予告編

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トトロのとなり

Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
日豊地域での見聞を中心に徒然を記す。
お金がないので遠くには行けない。
お金がないのでグルメ記事はなし。

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