二階堂美術館と掛け軸

日出に行ったついでに二階堂美術館にも寄った。これまた日本画中心のコレクションなので地味そうな美術館。展示品に特に関心があるわけではなく、まったくの「ついで」。

場所は10号線のマルショク近辺から入ってすぐだが、ややわかりづらい。二階堂の焼酎工場のそばで、なにやら甘い香りがあたりに漂っている。この写真はリーフレットから。


PB044985
PB044985 posted by (C)オトジマ

PB044984
PB044984 posted by (C)オトジマ

展示作品は撮影禁止なので写真なし。
収蔵目録には谷文晁・狩野芳崖などの古典の大家から近現代の著名な日本画家の名前が並んでいる。
下はリーフレットから。左から山口逢春、前田青邨、山元春挙


今の展示品はほとんどが掛け軸。それも「秋」をテーマとしたもの。秋だからからか彩りが地味で余白が多く、なおかつ古い掛け軸は全般に退色や下地の焼けがあり、褐色の世界のイメージ。まぁ、地味なススぼけた色合いは和漢の古美術の世界に共通する。こういうものを鑑賞するにはそれなりの鑑賞眼とか熟練が必要だが、残念ながら私には欠けている。今思い出してもどんな絵があったのかほどんど思い出せないくらいだ。

あらためて掛け軸というものをジックリ見て、掛け軸について考えてみた。掛け軸は床の間に飾るもので、その前に季節の花が活けてあったりする。そんな和室の中でこそ掛け軸の収まりがいい。現代のせせこましい物のあふれた家やタタミのない洋風の家では掛け軸の居場所はない。

昔のわが家にも押入れに数十本の掛け軸の桐箱があって、季節折々や正月には掛け替えていた。ということは、昔は日本全体ではものすごい掛け軸の需要があって、大勢の日本画家が糊口をしのぐことができたはずだ。高名な画家にしたって現金収入を得るために量産していたんではないか?さらさらと線画を描いて落款を押せば金になるんだから楽。

「芸術新潮」で村上隆がこんな風なことを言っていた。
「現代日本に日本画の需要は少ないのに、どこの美術大学にもあいかわらず日本画科が存在していて、毎年大量の卒業生が出るが、彼らを養う仕事はないはずだ・・・」
油絵にしたってそんなに需要はないと思うが、日本家屋から床の間が消滅したんだから日本画の需要が激減したのは理解できる。屏風はなおさらだ。

さて、これを機会に昔のわが家にあった掛け軸の何点かを倉庫に押し込んでいたので引っ張り出してみた。ヒモを解いて広げてみた。これらの掛け軸は戦前から70年ぶりくらいに日の目を見たはずである。もしかするとお宝かもと思って保存していたのであるが、かなり期待はずれ。書が多い。それももろに戦前の皇国史観の掛け軸だった。

クリックで拡大、詳細を見ることができる。
左は「尽忠報国」元帥公爵大山巌題--とある。武将は菊水の紋、大楠公、楠木正成である。戦前までは大英雄だった。今では教科書でも影が薄い。小学生が覚えるべき歴史人物50人のなかにも選ばれていない。逆に大悪人だった足利尊氏の方がはるかに重要人物となっている。この掛け軸に関してはどうやら印刷の大量生産品のようだ。筆跡が見えない。

上右:御名御璽とある。畏くも天皇陛下のお言葉。昭和16年12月8日付けの英米にたいする宣戦布告書。こんなものを掛け軸にして鑑賞していたとは。今ではとても床の間に飾れないでしょ。


下:クリック拡大で詳細
左は達筆で読めないのであるが、無理やり読んだら「天地育生無偏私」か?? ネット上で類似の文を探すとこれしかない。だれか正しい読みを教えて下さい。私の読みが正しければ勝海舟の漢文の一部で「天地生をはぐくむに私に偏ることなし」みたいなことらしい。署名は頭山満。戦前の右翼の巨頭である。落款も彼の号「立雲」がある。真筆かどうかは私には判別できない。ヤフオクにでも出してみるかな?

上右は馬の絵である。午年用。干支は掛け軸の定番。他に龍とか鯉とか鶴とか鷲とか富士とかのおなじみの絵柄があった記憶があるが、どこに行ってしまったもんだか。





トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

二階堂美術館

一週間ぶりの更新です。 ワタクシ、4泊6日で九州旅行に出かけていました。 おかげで、ブログネタをたっぷり仕込むことができました。 画像の整理などまったくできていないので、紹介しやすいところから、追々記事にしていきます。 ということで、まずは大分県の二階堂美術館のご紹介です。 白壁の土蔵のような建物が、二階堂美術館です。 「大分むぎ焼酎 二階堂」で知られる二階堂酒造が、収集...

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

トトロのとなり

Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
日豊地域での見聞を中心に徒然を記す。
お金がないので遠くには行けない。
お金がないのでグルメ記事はなし。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR