山本二三展

平日に休みが取れたのに雨もようだから宮崎アートセンターの山本二三展に行くことにした。18日までだから会期末。
連日ローカル局でCMを打っているので県民にはお馴染みであるが、山本二三の誰であるかを知らない人も多いだろう。アニメファンには背景画で有名な人物である。たくさんの作品に参加しているがなんといってもジブリ作品によって知名度が高い。展覧会であるから写真撮影はできないが、絵の説明をするのに絵がないと不可能なので展覧会展示作品と同じ場面をDVDからのスクリーンショットで並べる。

火垂るの墓では美術監督をしている。ジブリと言えば男鹿和雄の背景が有名であるが、この作品の時には「となりのトトロ」との同時上映。同時製作だったので男鹿氏がスカウトされトトロの方の美術監督を務めた。
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上の場面は神戸の阪急三宮駅から電車が出てくるところ。阪神大震災以前まではこのドームが残っていた。映画の設定では戦時中である。展覧会会場には山本が神戸に行ってこの建物を描いたスケッチが展示されていた。

主人公兄妹の家。家の設計図をもとに精密に描かれる。
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家の前の路地。素晴らしく緻密な絵である。空から焼夷弾が落下している。
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家と母を失った兄妹が親戚の家を出て屋外生活をする貯水池。
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もののけ姫でも美術監督を務めた。印象的なシシガミの森の場面も描いている。
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屋久島に取材に行って苔むす森のイメージを探したとか。実際には見ることの出来ない光景をあるかのごとくに現出させている。この名場面は山本の背景の力量によって実現された。
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エミシの村の屋内。
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森の場面はなんとなく男鹿和雄の作かと思っていたのであるが山本であった。男鹿氏もこの作品では数々の素晴らしい背景を描いている。男鹿氏の作品には彼独特の情感が漂う。

「天空の城ラピュタ」でも美術監督を務めた。会場にあった展示作品に近い場面を選んだ。
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背景画のロボットはえらく精密である。動く時にはセル画になって平面的になる。
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展示会場には炭鉱町とあったが、話の中ではここの鉱山は石炭ではなさそうだ。
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近年はジブリ作品に出番がなくなっている。ジブリには新たな背景画家たちが育ったということだろう。山本は自分の会社を作っていて、男鹿氏もとっくにジブリを退社してフリーランスになっている。男鹿氏の場合にはフリーになって自由に活動する方が才能が生きる、ということで、ジブリの方から退社の提案があったらしい。男鹿氏は昨年の「かぐや姫の物語」では美術監督を務めたが、社外からの参加であった。

山本氏の2000年代のヒット作といえば細田守監督の「時をかける少女」。細田の評価が定まった作品である。山本が美術監督を務めた。山本の雲の絵には定評があって「二三雲」と呼ばれる。ジブリ作品の中ではジブリ雲。
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主人公の自宅。緑いっぱいのステキな家である。
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自宅の庭。ゴーヤがたくさん実った棚がある。実際の絵は意外と小さくて横30cmもない。そこを精密に描きこむのだから極細の面相筆で描いていると思われる。
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学校の理科室。ガラスの実験器具が精密に描かれる。
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私は特にアニメファンではないが、ジブリファンではあるので男鹿和雄についてはよく知っていたのであるが、山本については名前くらいしか知らなかった。やはり知るってことはいろいろなものが見えてくることで、お馴染みの数々の名場面を描いたのが山本だとわかった。素晴らしい技量の持ち主であるが、男鹿の方がずっとアーチスト寄りで、山本の方はアルチザン寄りだと感じた。男鹿和雄展の図録には「ジブリの絵職人」とタイトルがついているが、山本の方が職人度が強い。そこが山本より男鹿が広く愛される理由だろう。

男鹿は1952年生。山本は1953年生で私と同じ。二人はほぼ同じ齢で経歴もやや似ている。男鹿が秋田県仙北郡、山本が長崎県五島の出身でどちらもかなりのド田舎。男鹿は高校から美術専門学校に進むが1年でやめてすぐに背景の会社に入る。山本は苦学している。夜間高校から美術専門学校に入っている。24歳で宮崎駿の「未来少年コナン」の美術監督を務めているから実戦力があったんだろう。二人ともあまり高踏的な美術アカデミズムとは縁がない。なにもわざわざ有名美術大学に行かなかったからこそ、力さえあれは認められるアニメの世界で若くして職人として場数を踏み腕を磨き名をなした訳である。

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No title

私も観覧しました。
フィルムやデジタル化で映像になってしまうと、とても薄っぺらい表情になってしまうですね。原画は奥行きや色調がスバラシイ!
米国のアニメーションはあくまでも、3Dの延長。日本のアニメーションは「絵」だったんですね。根っこが違いますよね。

ミワ君へ

アナ雪の大ヒットを見ると、2Dアニメも古典芸能になってしまうんじゃないか、と気になります。観客動員では「かぐや姫」は「アナ雪」に完敗。ところで生頼展の巡回展は頓挫してるんですか?

No title

みんな楽しみにしている生頼範義展の巡回展
有無報告はしばらくお待ちを
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トトロのとなり

Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
日豊地域での見聞を中心に徒然を記す。
お金がないので遠くには行けない。
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