WOOD JOB

延岡シネマは都市部の大型シネコンと上映時期がずれており、5月公開だった「WOOD JOB」が今上映されている。林業の盛んな県内では林業関係団体主催のホール上映が9月にあるようだ。

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監督が矢口史靖というだけでも見ても損はなさそうだ。最近あまり映画を見ないとはいえ、矢口の作品くらいは見ている。特に『ハッピーフライト』にはその巧みな腕前に感心した。エンターテインメントとして完璧。「ロボジー」は文句なく笑えて抱腹絶倒。

今作は矢口初の原作モノだそうだ。その原作が三浦しおんだから面白くない訳がないはずだが・・・・。

話は都会のダメな青年が気まぐれで山村の林業体験プログラムに参加して都会と田舎のカルチャーギャップや慣れない山林作業で失敗と挫折を重ねる中で成長していき、村のマドンナとの恋も成就する・・・という、見る前から底の割れたストーリーでなおかつかなり地味なシチュエーション。しかし矢口ならそれをうまく調理するはずだ、という安心感で映画館に入ったのである。クサイ演技も多いし、今時ケータイも圏外となるような山村にはあんなに働き盛りの男達や若い女性が大勢はいないだろう・・・とか文句のつけどころはあるがコメディなんだからそんなところにメクジラをたてるのはヤボ。まぁ問題なく面白くて泣かせるさすがの手腕であった。

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見せ場は祭の場面。諏訪大社の御柱祭みたいな行事であるが、御柱祭との違いは丸太が斜面を下るのに木馬(きんま)のようにレールを滑り落ちるのである。実際にセットを組んだのかCGで合成したのかはわからないが、これを実際に見られるとしたら大変な見もので、全国的なメジャー祭となるだろう。映画では丸太の巨木の上に主人公が乗って下るというものだが、その場面はさすがに合成だと思う。---木馬(きんま)については以前のポストを参照---

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この時に使われる丸太はフンドシの男達がオノで巨木を切り倒す。その杉の巨木がまたとんでもない巨木なのである。普通ならどこかの神社のご神木か保存樹木となるくらいの巨木だからホントに切り倒すのかな?と思ってみていると実際にオノを入れている。ここも実写なのか合成なのかはわからない。ネット上でもその話は見あたらないから是非知りたいところである。巨木の丸太は男根形に形成されて斜面の下の女陰形のワラの作り物に向かって突進する。この巨大な丸太はさすがに張りぼてだろうと思うが、見たところわからないくらい良くできている。そんな技術的なところにえらく感心した映画でもあった。
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舞台は三重県津市の山中。熊野もロケ地になっているようだから林業の盛んなところである。100年モノの杉を切る場面がある。宮崎県でも飫肥地域なら江戸時代からつづく林業家があるかもしれない。

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※その後、原作「神去なあなあ日常」も読んだのでその感想も。

矢口監督によれば、原作はあえて1回しか読んでいないとか。というのも、あまり読み込むと、原作に引きずられてしまって矢口自身が「面白かった!」という印象のパワーが薄れるんじゃないか、という恐れを抱いたからだ。原作にとらわれずにシナリオを書いて三浦しおんに承諾を求めたところ快諾を得たという。

だから映画は各所で原作とは異なる。なまじ映画を先に見たもんだから原作より映画のほうが良くできている、と感じたくらいだ。普通、原作本を読んだ後で映画やドラマを見ると失望することがままあるが、「WOOD JOB」に関しては矢口の脚本の巧みさが生きている。

映画冒頭の都会にいる勇気の描写、三重に行って当初林業の座学をするところ、大学に行っている元カノがサークルを連れて見学に来るところは原作にない。最後の丸太に乗って下るところなどは原作とはかなり異なる。逆に映画にはないが原作にあるところはたくさんある。そりゃ小説の方がきめ細かく描けるに決まっている。映画も原作もそれぞれになかなか良くできている、というのが感想。

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Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
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