家族はつらいよ

日向市の山田会は山田洋次監督のファンクラブであるが、いまや山田監督とは特別な関係を持っている。毎年なんらかの山田作品の上映会を開き、必ず山田監督も会場に姿を見せる。東京周辺ならいざ知らず、この辺鄙な日向市まで人間国宝級の才能が老体をおしておいでいただくのだから大変なことだ。

今年はまだ未公開の「家族はつらいよ」。山田会からのDMで応募したのだがハズレ。ところがキャンセル待ちのハガキを出したら当たって見る機会を得た。

日向市中央公民館は人でいっぱい
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P3280688 posted by (C)オトジマ

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山田洋次監督も観客席に。中央の白髪の人物
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P3280692 posted by (C)オトジマ

この作品は来年春の公開というから完成から1年後の公開、という奇妙なスケジュール。なんでかな?と疑問に思っていたら山田監督から説明があった。実は監督は今年「母と暮らせば」という作品を撮る。井上ひさしの戯曲「父と暮らせば」の翻案である。井上の作が広島の原爆をテーマにしているのに対し、山田版は長崎が舞台。戦後70周年ということで松竹が「母と暮らせば」を是非今年中に公開したいので、「家族はつらいよ」が割を食って来年公開になってしまったとのこと。

舞台では二人芝居。映画では吉永小百合、二宮和也の出演。
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これがポスターやチラシのデザイン。えらく分かりづらい。なんと横尾忠則デザイン。映画タイトルも彼。
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こちらなら分かりやすい。
kazoku ss

完成したばかりでスタッフのための社内試写しかしてない状態で1年もお蔵入りさせるのでは手ごたえがわからないままとなる。山田監督は会社に一般向け試写会の開催を要求し、それならいつもの手馴れた日向で、ということになったという。だから今回の上映会は松竹主催の試写会という形で入場料も取らなかった。ありがたいことである。

上映後にはお決まりの山田監督の挨拶。さすがにお年を召された、という感はまぬがれないが、話声は相変わらずだし、演出のキレはちっとも鈍っていない。監督は来年は「母と暮らせば」を持って日向に来る、と言われた。山田会の当事者ではないが、毎度毎度遠路はるばるこんな田舎にお越しいただくなんて恐縮至極である。お金にもならず、持ち出しなのに。監督の「山田会の意気に感ず」という厚い思いは絶えることがない。
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P3280693 e posted by (C)オトジマ

「家族はつらいよ」は前作「東京家族」の出演者がそのまま横滑りして、やはり三代家族の小さな波乱を描く。「東京家族」は小津安二郎の「東京物語」へのオマージュで、ストーリーもほぼ踏襲してシリアスな作品。しかし今作は徹底的に喜劇仕立てになっていて、文句なく面白く、そこは山田作品らしくホロリとさせる憎いエンディングになっている。喜劇なので役者がよくコケる。まるで吉本新喜劇。終始会場は笑いのウズで観客席でいっしょに見ていた山田監督もホッとしたという。

いつもながらの山田作品のように手馴れた構成。どう見てもお金はかかっていない。例によって殺人も爆発もアッと驚くドンデン返しもなく、ささやかな出来事の積み重ねで話は進む。しかし、芸術をきどることはなく、だれにでも楽しめる作品になっているところがさすがに山田作品だ。ただし、若い世代に大うけするかどうかについては疑問ではある。たぶん最初から中高年以上をターゲットにしているのかもしれない。一刻も早く公開を願うが、事情とあれば仕方がない。

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Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
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