浜三枝さんと柳宗悦 

ジブリの発行する「熱風」を読んでいたら気になる記事があった。

建築関係法規の度重なる改悪と住宅メーカーのマーケティングのせいで日本の住宅の形が大きく変わってしまった、というのである。住宅のデザインの集積が街並みを形作るのであるから、個々の住宅のデザインは大切である。

私も最近の新築住宅のデザインが真四角で無機的であることがどうも気になっていた。

この新築分譲住宅にはまだ屋根がある分、家らしい。屋根は全面ソーラーパネル。庭はほとんどなく、そのかわり駐車場は3台分くらいある。庭がないんだから30年経っても緑は増えずにこのまま経年劣化だけが進みそうだ。
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外装が真っ黒けの家も多くなった。屋根のみならず外板もオールトタンというか塗装鋼板の家も多い。
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さらに気になるのが格安分譲住宅の跋扈である。県内ではマエムラなどの大手業者が月当たり支払い額がアパートの家賃よりも安いというセールスポイントでいたるところ空き地さえあれはじゃんじゃん建てている。

ボーナス月以外は月23900円の支払いでマイホームが手にいる。こりゃ安いや。若夫婦はアパートから出てこれを買うな。
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お決まりのパターンで駐車場は2.3台分、窓は小さく玄関ドアは大きい。庭はない。土地は50坪台、建坪は25坪内外。
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大雑把に計算すると土地が坪12万、家が坪単価30万というところか。ここは以前は運送会社、宮崎中央運輸のトラックターミナルだったところ。10号線に隣接し、すぐそばに大型スーパーがあるので便利なところ。
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けっこう売れている。人口は減っているのに家がドンドン建つ。どこかで廃屋が増えているはず。
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実をいうと私の家も30年前にこうやって売り出された格安狭小住宅。しかし土地が70坪ほどあるので庭があって家自体が緑に覆われ安普請を糊塗してくれている。
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私の安普請だって新築時には外からは木部は見えない。不燃化のために木部は一切外にむき出してはいけない、というのが日本の住宅政策の根本方針らしい。だから一般的な住宅では板壁とか軒の垂木とかはなかなかできない。コスト的にもサイディングで覆った方がずっと安くなるだろう。ということで日本的な伝統的スタイルの新築木造住宅はなかなか難しい。ましてや若夫婦向けの安い住宅は四角四面のトタン張りになってしまいがち。藤森照信氏をはじめいろんな方が「熱風」誌上で政府の住宅政策が「安全」の大義名分のもとに伝統と景観を著しくないがしろにしていると嘆いておられる。

「熱風」では2005年愛知万博のおり会場に建てられた「サツキとメイの家」(となりのトトロ)関連で古い木造家屋を取り上げている。そこに女優の浜三枝さんが古民家保護について一文を書いておられる。私は浜三枝というと007でのボンドガールのイメージしかないが、実はなかなかステキな女性だったんだなと、遅まきながら知った次第。NHKのラジオ深夜便なんかを聴いておられる方なら彼女の人となりを先刻ご存知なはず。
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彼女はいたるところで書いたり述べたりしておられるが、中学生のときに柳宗悦の本を読んですっかり感化されて民芸や古民家、骨董にはまったという。彼女はちょうど私より10歳上であるからその道半世紀以上という柳宗悦信者でそういうものに大変造詣が深い。彼女は30代の頃、全国各地で壊され行く古民家を見るに耐えず、破壊されそうになった12軒を買い取った。解体された材で箱根に「やまぼうし」という大きな古民家を再生している。すでに30年以上が経っている。詳しくはリンク先を参照。
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まぁ、お金あらば可能ともいえるが、まずはその情熱が先だろう。彼女のブログもある。いろんな番組やら雑誌の取材やらで全国の古い家屋や街を訪ねたことを読む事ができる。今から8年前にはこの近所の北郷村椎野のアジサイ集落を訪ねている。(浜三枝ブログ2007年6月

浜三枝さんは中学卒業で就職しバスの車掌になった。昭和30年代初期だから中卒で就職も珍しくない。16の時に東宝にスカウトされて女優になっている。今では考えられないが彼女は中学生の時に柳宗悦を愛読していた。柳は昭和36年まで存命だから当時まだ現役の文筆家で若い人が読んでも珍しくなかったのかもしれない。
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私は名前は知っていたが最近まで柳の著作を読んだ事がなかった。幸い没後50年以上経ち著作権が切れ青空文庫に16編が収録されていてネット上で無料で読めるようになっている。---コチラ----
短編ばかりだから読みやすく、今読んでもなかなか面白い。私は柳に遅れること100年を経て民芸について認識を新たにした。遅まきながら大変な人物だった、と改めて知る次第である。---柳の設立した日本民芸館はコチラ---

おりしも戦後70年。本日8月14日に安部氏が戦後70年の「談話」を発表する。この時点ではまだ内容を知らないが、数ヶ月前から韓国内ではその内容に「侵略」「お詫び」などの語句が入るのか韓国侵略や慰安婦問題についてどのような言及があるのか日本よりはるかに関心が集まっている。他人の足を踏んだ日本人にはどうでもいいことが足を踏まれた側には大問題となる。

柳は1919年の三一独立運動の直後に「朝鮮の友に贈る書」をしたためている。運動の過酷な弾圧について朝鮮人に詫びる文である。「不逞鮮人」なんていう言葉があった時代の当時としては柳の発想は大方の日本人には奇異だったのかもしれない。柳は朝鮮陶磁を特に愛でたことから朝鮮には愛情が深い。しかし、柳が夢見た朝鮮人民と日本人民の和解は100年が経ってもいまだしの感がある。今こそ、安部氏に読んで欲しい文であるが、安部氏は忙しいしあまり勉強が好きでなさそうだからムリだろう。



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住宅・・・

こんにちは。
国道沿いの再開発の分譲住宅ですね。
おっしゃる通り、建て売り住宅が増えた分だけ、(山間部で)空き家が増えているのかも知れませんね。
トトロのとなりさまのお家の外装はサイディングですか? サイディングもメンテが必要と聞きますが、いかがですか?

らじさんへ

メンテナンスなんてこの30年間したことはありませんよ。屋根は一度塗装しましたが。サイディングはほとんど石ですからメンテのしようがないんじゃないですか。それより怖いのはシロアリ。我家にもサイディングの奥に巣食ってる気配がありますが、安普請でどうせ一代限りの家ですからほったらかしです。

メンテ

サイディングは、継ぎ目のコーキングの打ち直しと塗装をするメンテが必要と聞きました。
いまウチの向かいのお宅がメンテしてます。
屋根の防水が一番大事だから、屋根のメンテは必要不可欠ですね。
シロアリは怖いですね。知らないうちに巣食ってボロボロになる・・・
ゾッとします。

Re: メンテ

なるほどこーキングね。水漏れの可能性はありませね。

住宅

新しい住宅も気になりますが・・その前に田舎の空家は深刻です。何代も住めるはずの住宅が無駄な投資?となっています。我が家も25年前にん千万円で建てましたが引き継いで住む子供はいないようです。 町の人口も3分の1になってしまいましたからねえ。田舎暮らし勧誘も競争が激しくなってきました。

さて、トトロさんが紹介してくれたBSNHK?の浅田次郎「一路」見ていますが・・すこしイメージが違います。活字を読むほうが想像させてくれますね。

じなしさんへ

ン千万ですか。25年前というとバブル最終期くらいで土地も住宅も高かった頃ですね。当時、夫婦で教員をしていた同級生が近所に5000万円の豪邸を建てました。しかし10年くらい住んだあと遠隔地に転勤であとはずっと空家でいまや廃屋になってます。彼は住宅ローンは10年で返したらしいですから田舎の公務員はやはりいい身分です。私の格安狭小住宅は70坪の土地込みでなんと900万円未満!子供が田舎に戻る可能性もないし、私が死ぬまで持てばいいくらいのもの。今や住宅は一代限りの消耗品。現在の新興住宅地が200年後そのまま残ったとして、はたして伝統的町並みとして保存されるに値するでしょうかね。
一路見てます。原作を読んだあとでTVを見るとだいたいは失望しますよね。どういうわけかストーリーの根幹、敵役の将監が旅に同行してません。あとで変わる可能性もありますが、君主が度を越してバカ殿に描かれている点など首をひねる改変があります。さて、今後面白くなるものやら・・・
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トトロのとなり

Author:トトロのとなり
現在トトロのとなりの門川町に住む。
日豊地域での見聞を中心に徒然を記す。
お金がないので遠くには行けない。
お金がないのでグルメ記事はなし。

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